過去勤務債務

退職金規程が改訂されると将来の退職金が増減するが、これにより変動した退職給付債務の増減部分を過去勤務債務という。例えば、退職金規程が改訂され将来の退職金が増加すると、将来における退職給付見込額が増加し、その結果、退職給付債務が増加する。ただ、退職給付債務は当期までに発生している部分であるため、将来発生する部分は除かれる。つまり。過去から現時点までの期間に提供した役務にかかる退職給付債務の増加部分が過去勤務債務である。

なお、規程の改訂により給付水準が低下して退職給付債務が減少した場合には、会社の負担額は減少することになるが、この場合でも同様に過去勤務債務と呼ぶ。

退職金規程の改訂は、従業員の将来の勤労意欲が向上することを期待して行われる面があるため、この過去勤務債務は、将来の収益に対応するものとして考えて、平均残存勤務期間以内の一定の年数で償却することを認めている。償却方法は定額法か一時の費用とすることが合理的と考えられている。また、償却する場合は、数理計算上の差異と異なり、改訂が行われた期より償却を行うことになる。なお、適格退職年金制度等の年金財政計算における「過去勤務債務等」は、数理債務(責任準備金)から年金資産を控除した、いわゆる年金財政計算上の積立不足をいい、これと過去勤務債務は性格が異なる。

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