陳列の分類
商品の陳列は、補充型陳列(オープンストック)と展示型陳列(ショーディスプレイ)に大別することができる。
補充型陳列
消耗頻度、使用頻度、購買頻度が高い定番的な商品を効率的に補充し、継続的に販売するための陳列手法である。見やすい、選びやすい、手に取りやすい等の顧客ニーズに対応した合理的なディスプレイにすることが重要である。
補充型陳列を行う際には以下の点に留意する必要がある。
1)前進立体陳列にする。
2)安定感のある陳列をする。
3)最上段のディスプレイの高さを統一する。
展示型陳列
特定のテーマを決め、それに合わせた商品構成、全体のフォルムなどを演出していく陳列手法である。店頭のシ∃―ウインドウなどを活用し、小売店のねらいとする流行商品等をタイムリーなテーマをもつて訴え、店舗全体のイメージをはかる。
その他の陳列手法
エンド陳列
スーパーマーケットなどではゴンドラのいちばん端(エンド)、衣料品店ではハンガーの端の場所での陳列手法である。通常、特売品や目玉商品などをボリューム感いっぱいに陳列する。顧客を引きつける(マグネット)効果が期待でき、非計画購買を誘発することができる。
ジャンブル陳列
投げ込み陳列のことで、スーパーマーケットなどでよく見かけるタイプである。特売品の陳列に向いている。投げ込みなので陳列の手間が少なく、移動も簡単である。ただし、高額商品には不向きである。
島出し陳列
部分的に通路上にはみ出させて陳列する手法である。特売品の陳列に用いられる。陳列に変化があり、活気も出るが、うしろの商品に注意が向かなくなつたり、物理的に見えにくくなつたりするうえ、通路を狭<してしまうので、利用に当たっては注意を要する。
平面陳列
商品を平面的に並べ、気軽さ、気安さを与える陳列方法で、鮮魚、野菜などの低価格かつ日常的な商品に適している。
ステージ陳列
主として展示型陳列が行われる場所で、店内誘導、巡回性に効果がある位置にステージを設置した陳列方法である。
ゴンドラ陳列
定番商品を主体に陳列し、多数のアイテムを顧客にアピールする目的で採用される。フェイスを揃えやすく、在庫数量の把握などの在庫管理が実施しやすい上、商品が崩れにくく傷みにくいという利点がある。その一方で、商品補充と商品の前出しを怠ると、空きスペースが生じて商品陳列が乱れてしまうという欠点がある。
カットケース陳列
陳列什器を使わず商品が入っていた箱をカットし、そのまま陳列する手法で、ディスカウントストアではよく使用される。陳列の手間が少な<、フレッシュさや安さを訴求する効果がある。
フック陳列
フックに引つかけて陳列する手法で、文房具など小型で軽量の商品に利用される。商品が見やすく、在庫量を把握しやすい。
ボックス陳列
箱形の棚や台を用いる手法であり、衣料品などで利用されている。商品を分類するのが容易となる。
レジ前陳列
エンド陳列を小さく変形したもので、購買顧客が必ず通過するレジ前に陳列することから、顧客の目に触れやすく、ついで買いを誘発する効果がある。
陳列の留意点
有効陳列範囲
陳列は基本的には、顧客に商品の購入を促すために行つている。したがって、「顧客の手が届く範囲」に商品は陳列すべきである。その範囲のことを有効陳列範囲という。
ゴールデンゾーン
有効陳列範囲のうち、特に最も顧客の手の届きやすい位置をいう。一般的には、男性で70~ 160cm、女性で60~ 150cmの範囲を指す。
フエイシング管理
フエイスは商品の顔のことである。フェイス数とは顧客の目に見える商品(面)の数である。
フエイシングにおける留意点には、次のようなものがある。
1)重点商品のフェイス数は多くする
見た目の量であるフェイス数が多くなれば、売れる量も増える。重点商品は売りたい商品であるから、この「見た目の量」を増やし、積極的に販売する。
ただし、フエイス数を5倍にしても販売数量は5倍にはならないため注意が必要である。
2)売上実績データに基づいて随時見直す
フエイシングは固定的に考えるのではなく、仮説検証の要領で販売実績に基づいて、随時変更する。
3)商品ごとに“最適な画”をフェイスにする
商品ごとにどこを見せるのが、最もその商品をアピールできるか考慮したうえで陳列する。
4)縦陳列と横陳列
縦陳列(垂直型展開、バーティカル陳列ともいう)とは、同一商品や関連する商品を「縦」に陳列する方法である。一方、横陳列(水平型展開、ホリゾンタル陳列ともいう)とは、同一商品や関連する商品を「横」に陳列する方法である。