仕入れ方法

小売業が卸売業やメーカーなどから仕入れる方法には多様なものがあるが、以下では次の代表的な4つを解説する。

  1. 大量仕入と当用仕入
  2. 日集中仕入と分散仕入
  3. 日本部集中仕入と店舗分散仕入
  4. 共同仕入れと単独仕入れ

1.大量仕入と当用仕入

 大量仕入とは、1回の仕入で同一商品を大量に仕入れる方法である。当用仕入とは、販売状況に応じて、頻繁に必要な数量だけ少量ずつ仕入れる方法である。当用仕入の一般的なメリット・デメリットは、大量仕入と逆の関係にあると理解すればよいが、当用仕入には、特定仕入先との継続的・反復的な仕入活動による累積数量割引を受けられるようにすることが好ましいとされている。

大量仕入のメリット 大量仕入のデメリット
  • 数量割引の利益を享受できる
  • 投機的な考慮から、先高見越しによる価格変動差益を享受できる
  • 期間あたりの仕入費用が節減できる
  • 機会ロスを防止できる
  • 在庫過多による商品回転率の悪化や商品投下資本の効率を低下させる
  • 金利や保管費用の増大を招く
    先高見越しを見誤ると損失を被る
  • 需要や二一ズの変化に対応しにくい

2.集中仕入と分散仕入

 仕入先企業の数を集中させることを集中仕入、分散させることを分散仕入とよぶ。集中仕入の―般的なメリット・デメリットは以下の通りである。分散仕入はこの逆と考えればよい。

集中仕入のメリット 集中仕入のデメリット
  • 数量割引の利益を享受できる
  • 投機的な考慮から、先高見越しによる価格変動差益を享受できる
  • 期間あたりの仕入費用が節減できる
  • 機会ロスを防止できる
  • 在庫過多による商品回転率の悪化や商品投下資本の効率を低下させる
  • 金利や保管費用の増大を招く
    先高見越しを見誤ると損失を被る
  • 需要や二一ズの変化に対応しにくい

 

3.本部集中仕入と店舗分散仕入

 本部集中仕入(セントラルバイイングシステム)とは、チェーン店において分散した各店舗の仕入を本部で一括して行う仕組みである。仕入に関する権限の大部分を各店舗に与えず、本部に仕入部門あるいはセントラルマーチャンダイジング部門を設けて、仕入に関する権限と責任を集中させるという集権化と販売の分散化に関するシステムである。店舗分散仕入れは、仕入れ権限を各店舗に分散させ、販売と仕入れを同一場所にする仕組みである。各店舗の販売部門が、その店舗の顧客の需要動向を最もよく理解しているため、各店舗で仕入れをした方がよいという考え方である。

本部集中仕入のメリット 本部集中仕入のデメリット
  • 仕入機能の専門化と専念化により、市場適合性の向上、仕入ノウハウの蓄積、売れ筋商品の仕入による商品回転率の向上、業務の効率化、費用節減などの効果が期待できる
  • 大量仕入れのメリットが教授できる
  • 各地域の市場性を無視した画一的な仕入れになりやすい。その結果、きめ細かいマーチャンダイジング活動が困難になる場合がある。
  • 仕入れと販売とが分離しているため、双方の連動が不十分になりやすい。

 

4.共同仕入れと単独仕入れ

 共同仕入は、とくに小規模な小売業者などが共同して仕入れ活動を実施し、大量仕入れのメリットを教授しようとするものである。多くの仕入担当者の協力した鑑識力によって、優れた仕入活動ができるというメリツトがある。デメリットとして、参画する小売業ごとに、重点商品や必需商品の相違があることから、また、多数の仕入担当者が集まって業務を行うため、足並みが揃いにくい点が挙げられる。なお、単独仕入は文字通り単独で仕入れることである。

・関連用語: マーチャンダイジング

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