概要
商品ミックスとは、小売業経営において、標的顧客に適合した商品ラインと商品アイテムを選択することである。すなわち、どのような商品ラインや商品アイテムをどのような種類や数量の組み合わせで品揃えを行い、どのような商品群によって売場をつくりあげるかということである。商品ミツクスの意思決定は、標的顧客の観点のみならず、経営管理の観点や競争優位の観点から検討することが求められる。なお、業態によっては、宅配便取り次ぎ、ATM、公共料金収納代行などの「サービス」も商品ミックスの重要な要素となつている。
商品ライン
それぞれが相互に密接な関連をもつている商品群のことである。顧客のニーズを満たす、相互補完的に使用される、同一顧客グループにより購買され使用される、などの要件を満たすグループを指す。たとえば、衣料品店では、カジュアル、スーツ、ネクタイ、ジヤケットなどのグループである。商品ラインの数を「幅」とよぶ。
商品アイテム
特定商品ラインを構成している、ブランド、スタイル、素材、サイズ、色などにより区分される商品の最小分類を指す。商品アイテムの数を「深さ」とよぶ。
小売業における商品ミックスの例
商品ミックスの決定は、小売業の商品戦略にとどまらず、大きくとらえれば小のストアコンセプトや業態そのものを決定づけることになる。商品ラインの幅と商品アイテムの深さを組み合わせた業態の例は次のとおりである。
商品ライン拡大のメリットとデメリット
標的顧客の二―ズを満たし、さらに、既存顧客のみならず、新たな顧客層を取り込むためには品揃えの拡大が有効である。しかし、それには短所を考慮する必要がある。また、前述したように、商品ラインの拡大は商品投下資本の増大にも影響をもたらすことになるため、市場戦略と財務戦略、すなわち均衡在庫の観点から慎重に対応することが求められる。
メリット
- 幅広い顧客ニーズに対応でき、ワンストツプシヨツピングを提供できる。
- 畿 品揃えの偏りによる、ニーズ不適合のリスクを減少できる。
- 需要の変動を平準化できる。
デメリット
- 在庫量が増大するので、在庫リスクが高まり、商品回転率が低下する。
- 商品および在庫管理が煩雑になる。
- 経営資源が分散する(ストアコンセプトが不明確になりやすい)。
- 自社のライン内で力ニバライゼーション(共食い)が発生しやすい。
モノを横割りにした商品構成(ニーズに合わせて商品ラインを拡大する
単に商品ラインを拡大するのではなく、顧客のライフスタイルに関連した提案をするためには、商品と商品(サービス)を組み合わせる商品ミックスを決定することが有効である。例えば、酒店がコンビニエンスストアに業態転換して、売上が増加したという事例がある。
専門性を強化した商品構成(商品アイテム数を深くする)
専門性を強化して売上高の増力]を図る場合、顧客1人当たりの購入金額を向上させる必要がある。または、遠方からの顧客をよび込むことにより商圏の拡大を図り、来店客数を増加させる必要がある。
・関連用語: マーチャンダイジング、ストアコンセプト