ディカップリング・ポイントとは、見込生産と受注生産の分岐点のことであり、計画が実際の需要に引き当てられるポイントであることから受注引当てポイントとも呼ばれる。―般に、資材の調達、生産、販売、配送と続く、連結している流通プロセスを辿るのに要する時間の方が、顧客が注文してから最終製品を受け取るまでの許容時間よりも長い。そのため受注してから生産を開始する受注生産方式では顧客の要求納期を満たすことが困難となる。一方、製品ライフサイクルが短い場合、最終製品を在庫として保有する見込生産方式では、死蔵在庫リスクを伴うこととなる。そのため、多くの製造業では見込生産と受注生産方式の中間的な生産方式によつて顧客に対応している。つまり、部品や中間製品などは予測に基づいて生産を行い、顧客の注文を受けてからそれらの在庫を用いて最終製品の生産を開始する。このような、受注生産と見込生産の分岐点、一般的に在庫を保有するプロセスを、ディカップリング・ポイントという。
見込生産方式と受注生産方式を組み合わせることにより、注文を受けてからの納期を短縮したり、最終製品の在庫を必要以上に持つことを回避したりすることができる。しかし、生産着手から生産完了までのプロセスを変更したり、製造工程そのものを変更したりするわけではないため、製造期間は短縮されない。むしろ、中間製品として在庫を保有する期間が生じるため、製品を作り始めてから完成するまでの期間は長くなる場合がある。
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