繰延税金資産の回収可能性(くりこしぜいきんしさんのかいしゅうかのうせい) – realizability of deferred tax assets

税効果会計を適用するに当たつて、認識された一時差異を繰延税金資産として計上するためには、将来の減算効果が得られるかどうかの検証を行う必要があるが、この効果の確実性のことを繰延税金資産の回収可能性という。つまり、繰延税金資産は将来の税金を減少させる効果(税効果)がある場合に資産として計上が認められるものであり、回収可能性が認められない部分については資産として計上することはできない。繰延税金資産の回収可能性の判断には、①収益力に基づく課税所得が十分あるか、②タックスプランニングがあるか、③将来加算一時差異が十分あるかを検討することが必要になる。また、課税所得の十分性やタックスプランニングの有無については、たとえ問題がない場合でも、次のように、会社の状態を5つに分類し繰延税金資産として計上される範囲が異なるので注意が必要である。①会社の業績が良く常に多くの課税所得を計上している会社であれば、すべての繰延税金資産を計上することが可能である。②業績は安定しているがそんなに多くの課税所得はない会社は、解消の時期がスケジューリングできない一時差異を除き繰延税金資産として計上できる。③業績は不安定であるがそこそこの課税所得を計上している会社は、将来の合理的な見積期間(おおむね5年)内の課税所得を限度としてスケジュールできる一時差異について繰延税金資産を計上できる。④多額の税務上の欠損金を計上している会社は、翌期の課税所得が見込める範囲内で翌期に解消する一時差異のみを繰延税金資産に計上できる。⑤連続して多額の税務上の欠損金を計上している会社などは、繰延税金資産は計上できない。回収可能性を検証する際の具体的手順は、①将来減算一時差異のスケジューリング、②将来加算一時差異のスケジューリングと減算一時差異との相殺、③将来(おおむね5年)における各年度の課税所得と減算一時差異との相殺、④当期末の税務上の繰越欠損金がある場合は課税所得の発生見込額までの相殺。繰延税金資産の回収可能性は毎期末に検討し、その結果、回収できないと判断されるものについては取り崩すことになる

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