繰延税金資産(くりこしぜいきんしさん)-deferred tax asset

いわば、前払税金のようなもの。一時差異のうち将来減算一時差異となるものの税金相当額が、貸借対照表上において繰延税金資産として計上される。繰延税金資産となるものは一時差異と一時差異に準じるものとがある(以下、これらを合わせて「一時差異等」という)。一時差異は会計と税務における資産及び負債の差異の要因となるもので、将来減算一時差異と将来加算一時差異があるが、このうち将来加算一時差異は繰延税金負債に計上される。また、一時差異に準じるものには、税務上の繰越欠損金と繰越外国税額控除がある。これらは、将来の税額を減少させる効果(税効果)が認められることから、一時差異に準じて取り扱われており、繰延税金資産を構成する。繰延税金資産として計上するには、認識した一時差異に税効果が認められる必要がある。つまり、将来の税金を減少する効果が認められないものについては、繰延税金資産として計上することはできない。例えば、棚卸資産に係る将来減算一時差異がある場合に、当該棚卸資産を売却する予定である翌期に課税所得が発生しないと見込まれるときには、その一時差異には将来の税金を減少させる効果が低いため繰延税金資産の計上は困難となる。また、このような場合でも、税務上の繰越欠損金を通じて将来の一定期間を通じて税金を減少させる効果が生じる場合がある。その場合には、上記の棚卸資産にかかる一時差異の税金相当額と繰越欠損金については繰延税金資産に計上することになる。このように、将来の数期間を通じて生じる税金の減少効果を回収可能性と呼び、決算においては、繰延税金資産の回収可能性の有無を検討して、計上するべき金額を確定する必要がある。

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