VEとは、日本バリューエンジニアリング協会の定義によると、「最低の総コストで、必要な機能を確実に達成するため、組織的に、製品またはサービスの機能の研究を行う方法」である。VA(Value Analysis:価値分析)とVE(Value Engineering:価値工学)は同じものと考えてよい。購買部門を対象にしたVAが、購買以外の設計・製造部門などに広がりを見せ、VEとよばれるようになつた。
VE5原則
VEを正しく活用するための行動指針であり、次の5項目の原則がある。
1)使用者優先
2)機能本位
3)創造による変更
4)チーム・デザイン
5)価値向上
VEにおけるValue(価値)
この価値を高めるための方策としては、次のようなものがある。
1)機能を一定に保ち、コストを小さくする
2)コストを一定に保ち、機能を拡大する
3)コストを大きくするが、機能はもっと大き<する
4)機能を拡大し、しかもコストを小さくする
なお、価値には使用価値、コスト価値、交換価値、貴重価値などがある。VEでは、そのうち次の2つが価値の対象となつている。
使用価値(Use Value): そのものがもつ役割、働きで判断される価値。
貴重価値(Esteem Value): そのものを所有することによって得られる満足感で判断される価値。
VEにおける機能とコスト
機能
VEで対象とする機能はすべての機能であるが、主となるのは使用機能(製品の本来の使用価値を果たすために必要な機能)の中の補助機能(二次機能)である。
基本機能(一次機能)とは、これを欠くとそのものの必要性や存在理由がなくなるといつた類のもので、腕時計を例に挙げると「時刻を表示する」に、鉛筆ならば「字が書ける」に当たる。補助機能(二次機能)とは、基本機能の達成を補助する機能で、付属的・装飾的・補完的機能のことである。同様に腕時計なら「アラーム、夜間照明、日付表示」、鉛筆なら「耐久性、取扱易さ」などに当たる部分である。
また、貴重機能とは、見栄えを良くするための働きのことである。機能定義は製品・部品の持っている機能を名詞(目的語)+動詞(ネジであれば「部品を固定する」)で表現することにより行う。機能定義上の留意点は次のものがある。
① 名詞は定量的に表現できるものをできるだけ選択する。
② 2つ以上の定義を1つに表現しない。
③ 状態を表す表現や否定語を使わない。
④ いろいろな発想がしやすい動詞を選択する。
これは、普遍的な動詞(たとえば、開ける、潰す、走る)を使用することによって、機能を定義する際にいろいろなアイデアを出しやすくして、そのアイデアによって最も高い価値の製品を作り出すことをねらうという意味である。
コスト
VEにおけるコストの考え方は、製品の開発から、その利用、廃棄までを含めたライフサイクル・コストである。つまり、製造コストばかりでなく、その製品を使用する際に発生する運転コストや、操作コスト、また、保守・サービスの費用(コスト)や、部品の交換コスト、あるいは製品を納入する際の物流コストや、寿命の尽きた製品の廃棄コストなど、製品のライフサイクルのあらゆる場面で発生するすべての費用(コスト)をいう。