稼働分析

定義

 稼働分析とは、作業者または機械設備の稼働率もし<は稼働内容の時間構成比率を求める手法である。稼働分析の手法としては、ワークサンプリング (瞬間観測法)と連続観測法がある。 稼働分析の目的は、稼働率を把握するとともに「非稼働」を分析し、その要因を 排除し稼働率を上げることにある。 なお、稼働率は、作業者または機械設備の働きぶりを示す指標であり、次式で表 される。

稼働率 = 実際稼働時間 ÷ 総時間

ワークサンプリング(瞬間観測法)

 ワークサンプリングとは、瞬間的に作業者や機械が「 何をしているか」を観察して記録・集計し(必要最小限のサンプルを収集 )、 そのデータに基づいて作業状態 の発生の割合を 統計的な考え方により 分析する 手法である。繰り 返し 作業に適した手法である。 ワークサンプリングの主な目的は、①生産を阻害する要因を把握して作業の改善 に役立てること、②人や機械設備の稼働率を調査し、非稼働要因を発見し改善する こと、③標準時間を設定するための余裕率を 求めること、などである。そ して、この目的を達成するために観測して算出する数値が「度数」であり、これを 「出現率」として分析するのが一般的である。 たとえば、ある作業者をワークサンプリング法によって100回観測し、95回 (度 数)が 「稼働」 、5回 が「作業余裕」だつたとすると、稼働率は95%(出 現率 )、 余裕率は5%と いうことになる(内掛け法 )。

メリット デメリット
  • 観測が容易(1人の観測者で多数の分析が可能。低コスト )
  • データの整理が容易
  • 機観測されることを意識しないためデータの信頼性が高い(ラ ンダム時刻 表を用いるなど観測対象者に観測時刻を知られないように留意する
  • 深い分析には不向き
  • 母数が少ないと誤差が大きくなる

 

ワークサンプリング法による、稼働分析のための作業分類

ワークサンプリング法による観測項目は、観測目的によって異なるが、作業改善点の発見、余裕率の設定などについては、作業を分類して、 それぞれの度数 (出現率)を算定して分析する。なお、観測者には、瞬時に観測し た結果を項目別に分類することができるスキルが必要となる。

連続観測法

 連続観測法は、観測対象の作業内容や稼働状態を継続的に観測する分析手法で、 非繰り返し 作業やサイクルの長い作業に適している。きめ細かい問題点が抽出でき る利点がある一方、作業者が観測者の目を意識して、不正確なデータとなるおそれ や労力(コ スト)がかかるという欠点がある

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