まちづくり三法

定義

 まちづくり三法は、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の3つの法律の総称で、平成10年から平成12年にかけて整備・施行された法律である。

大規模小売店舗立地法(大店立地法)(平成12年6月施行)

大型店の開発・出店に際して、施設の配置や運営方法等について、生活環境の保全という観点から調整する制度。

中心市街地活性化法(平成10年7月施行)

市町村等(東京特別区は区)が中心市街地の活性化を目的とした関連施策を総合的に実施するための諸制度を体系化している。平成18年6月に大幅に改正され、さらに平成26年7月にも改正された。

都市計画法(平成10年11月改正)

小売業を含む諸施設の立地コントロールを強化するための法律。平成18年5月に大幅に改正された。

まちづくり三法の背景と展開

 まちづくり三法制定の背景には、中小商業の保護を目的とした大規模小売店舗法(大店法)の廃上がある。国際化の進展と社会環境の変化に伴って、大店法の見直しの議論が高まり、大店法の廃止とともに大規模小売店舗立地法(大店立地法)が制定されることになった。しかし、これにより大型店の郊外出店が加速し中心市街地の機能低下や空洞化といつた問題が発生したため、その是正を目的とし中心市街地活性化法が制定された。さらに、市町村が独自に都市計画地域の用途を決定できるように、都市計画法が改正された。これらのまちづ<り三法によつて、中心市街地の空洞化の進行を抑えるとともに、市町村のまちづくり活動を有効に推進できるよう図られたのである。
 しかしながらまちづくり三法は期待された効果が得られず、中心市街地の空洞化はますます進行してしまった。その要因としては、大店立地法が駐車場の設置台数をはじめとした出店等の審査基準を設けていることから、大型店の出店に要するコスト面や用地確保の容易さ等で、中心部は郊外部に比べて格段に出店しにくくなり、中心部の出店を減少させ郊外部での出店を促進させたのである。また、大型店出店に伴う税収や雇用機会の増加の面から、誘致を期待する市町村が多かつたこともあげられる。さらに、モータリゼーションの進展を背景として、公共公益施設や大規模商業施設などの都市機能のスプロール的(無秩序)な拡散が進んだ。
 これにより、中心市街地の衰退のみならず、自動車を運転しない高齢者等の利便性の低下や、インフラ整備の維持管理コストの増大など、さまざまな問題が生じた。こうした中、人口減少、超高齢化社会を迎える我が国は、既存の社会資本のストックを有効に活用しつつ、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりへと転換することが必要となり、まちづくり三法の見直しに至ったのである。
平成18年に成立・公布された改正法は、中心市街地活性化法と都市計画法の2つである。大店立地法は改正されていない。

・関連用語: 大規模小売店舗立地法中心街地活性化法都市計画法

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