定義
ショッピングセンター(SC)は、デベロツパーとよばれる1つの経営体が中心になつて計画、開発した建物にキーテナントといわれる大型小売店(大型スーパーなど)とテナントとよばれるバラエティに富んだ小売専門店、飲食店、サービス業が入り、地域の生活者に多種多様な商品、サービスを提供する商業施設である。
SCの構成要素
核店舗
SCの中核となる店舗のことで、顧客を吸引する力が求められる。その意味で“マグネットストア”ともよばれる。ショッピングセンターの規模が大きくなれば、この核店舗の規模も大きくなる、あるいは数が増える。
テナント
SCに賃借によつて出店する店舗のことである。売場面積が大きく、集客力の強いテナントをキーテナントという。SCの場合、キーテナントは核店舗である。単にテナントとよぶ場合は、専門店集団を指す。
デベロッパー
店舗施設開発者のことである。この場合のデベロッパーは、小売事業者以外で施設内に自己の店舗をもたない場合と、大型店などの核店舗がデベロッパーになる場合とがある。共同販売促進活動はデベロッパーが中心になつて行う場合が多い。
SCの形態
一般的なSC形態
デベロッパーが開発した建物にキーテナント(大型小売店)とバラエティに富んだテナント(小売専門店、飲食店、サービス業)が複数入る形態。
パワーセンター
複数のカテゴリーキラー(取扱商品のジャンルを特定し、徹底した品揃えと低価格を売り物にするディスカウンター)を核店舗とした大型複合施設。衣料品、ホームセンター、家電量販店、玩具、食料品などの大型量販店の複合化による相乗効果によつて、広域からの集客を図る。
テーマパーク型SC
アミューズメント系の店舗を中心とした複合施設。大型ゲームセンター、映画館、パチンコ、ボウリング、カラオケボックスなどの店舗を核として、飲食、物販、レジャーを複合させることにより集客を図る。
アウトレットモール
メーカーや小売店の在庫処分などを目的としたアウトレットストア(ファクトリーアウトレット)。
ホールセールクラブ
会員制の倉庫型店舗で、ケース単位で販売するのが一般的である。徹底したコスト削減により、低価格販売を実現させている。
ハイパーマーケツト
スーパーマーケットの規模をさらに拡大した小売業態で、内装や什器などの経費を削減して、価格競争力を強化した超大型小売店舗である。
総合スーパー(ゼネラルマーチヤンダイジングストア:GMS)
衣食住の3部門をフルライン化し、品揃えを充実させるとともに、ワンストツプショッピングの利便性を高めることで支持を集めてきた業態である。しかし、90年代後半以降、カテゴリーキラーやホームセンターなどの台頭によって、かつての商品力・価格面での優位性は薄れているといわれている。
SCの事業特性
項目 | 商店街 | SC |
成り立ち |
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コンセプト |
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テナント構成 |
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運営体制 |
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付加価値 |
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オフィス賃賞業とSC事業の事業の相違点
項目 | オフィス賃貸業 | SC |
開発立地の選定 |
利便性 |
商圏規模 |
賃料形態 | 固定賃料 | 歩合賃料等 |
賃料収受 | 請求収受 | 売上金精算 |
顧客とのリレーション | B to B | B to C B to B to C |
関心事(経営指標) | 空室率動向 | 売上高 |
テナントの入れ替え | 消極的 | 積極的 |
テナント営業管理 | 特になし | 常駐管理 |
資料の徴収形態
固定家賃型
売上額と関係なく一定額の賃料を徴収する形態である。オフィス等に複合される店舗に採用されることがある。
固定家賃+売上歩合型
固定家賃に加え、売上に歩率を掛けて徴収する形態である。固定家賃の設定により売上変動のリスクを出店者が負い、売上歩合はあまり高くないという特徴がある。
単純歩合型
一定の歩率を設定し、売上に対する歩合賃料のみとする形態である。テナントにとつては固定家賃の負担が無いかわりに、高い坪当たり売上を実現した場合、高い賃料を支払う結果になる。事業運営主体にとつては、固定家賃に相当するものがないので、事業計画が立てづらく、リスクが生じるという難点がある。
最低保証付逓減歩合型(固定+売上逓減)
基本的には売上歩合型の形態となるが、テナントの売上に最低保証という意味での基準売上高を設定し、その歩合が固定家賃部分に相当するため、デベロッパーにとつては売上の変動に対するリスクヘッジを設けることができる。売上歩合は基本歩率を設定し、最低保証のリスクをテナントが負うかわりに、―定の売上高を超えた額に対しては、歩率を軽減する逓減措置をとることが多
い。なお、賃料とは別に共益費が徴収される場合もある。賃料は、「建物の賃貸借において、建物(及びその敷地)の使用の対価として、賃借人から賃貸人に支払われる金銭その他の物」であり、共益費は、一般的に、「ビル管理に要する諸費用、共用部分に関する付加使用料、テナント、または区分所有者ごとに分別することの難しい付加使用料等を年間で積上計算し、専有面積当たりの月割でテナントまたは区分所有者に賦課される費用」と解釈されることが多い。
共同店舗
共同店舗とは、)肖費者にワンストツプシヨツピング(1カ所で多種類の商品が間に合うこと)の利便性を提供するため、中小小売店等の商業者がテナントビルなどの建物内に共同してつくりあげた店舗である。規模の大小はあるが、ショッピングセンターの1つであり、中心市街地に共同店舗を設置することによって、集客力を高めることができる。
共同店舗の開発および運営上の留意事項
共同店舗を安易にとらえると失敗の危険性が高まり、個店だけではなく、共同店舗を取り巻く商業集積や商店街にも大きな影響を及ぼすことになる。共同店舗の開発および運営上の留意事項は以下のとおりである。
1)適正規模を判断する。十分な調査を実施し、マーケットに見合つた身の丈の規模と構成、無理のない事業計画を作成する。
2)はじめにメンバーありきではなく、コンセプトに賛同した、やる気のある仲間づくりを行う。
3)強い店舗を計画的に集め、店舗の魅力を相互に高める。
4)不足業種業態・強化業種業態を洗い出し、ワンストツプシヨッピング機能を高める。
5)各商店が個人としてではなくテナントとして共通の目的意識をもち、共同の販売促進活動等を行うなど協力体制で運営する。
・関連用語: 商圏、