標準時間

定義

 作業見積りや割当てを行うためには、その基準となる時間が必要となる。つま り、標準時間が必要となる。 標準時間とは、「 その仕事に適性を持ち、習熟した作業者が、所定の作業条件の もとで、必要な余裕を持ち、正常な作業ペースによつて仕事を遂行するために必要 とされる時間JIS Z 8141-5502」 である。つまり、「 決められた方法と設備を用 いて(標準作業方法 )、 決められた作業条件のもとで(標準作業条件 )、 その仕事に 要求される平均的レベルの熟達度と技量を持つた作業者が、決められた時間内に、 正常なペースで作業を行い、一定の品質の仕事を一定量完成するために必要とされ る作業時間」をいう。

1.主体作業時間

「作業サイクルごと、または一定周期ごとに発生する作業時間で、主作業時間 と付随作業時間とに分けることができる」

2.準備段取作業時間

「ロットごと、始業の直後および終業の直前に発生する準備、後始末、段取、 運搬などの作業時間

3.正味時間

「主体作業と準備段取作業を遂行するために直接必要な時間」IS Z 81415503」 である。規則的、周期的に繰り返される作業時間で、下記の余裕時間 は含まない。 正味時間を求める方法は、ストツプウオツチ法により求めた作業時間にレイ ティング係数を掛けて求める方法が―般的である。

4.余裕時間

対象業務において不規則・偶発的に発生し、「作業を遂行するために必要と 認められる遅れの時間JIS Z 8141‐ 5504」 のことである。余裕時間は、発生 が不規則・偶発的な時間である管理余裕時間と、作業者にとつて生理的に必要 な人的余裕時間に分けることができる。余裕時間は稼働分析 (ワ ークサンプリ ング法など)によつて求めることが多い

5.余裕率

「標準時間 (あ るいは正味時間)に 占める余裕時間の割合を余裕率という。― 単位の作業に対する余裕時間を個別に求めることはできないので、標準時間を 求める際には、余裕率として与えるJIS Z 8141‐ 5504」 。算出法は2つあり、 どちらの方法を使用しているか明示する必要がある。

外掛け法

余裕率  = 余裕時間 ÷ 賞味時間
標準時間 = 正味時間 x (1+余裕率)

内掛け法

余裕率  = 余裕時間 ÷ (余裕時間 + 正味時間)
標準時間 = 正味時間 x {1  ÷ (1 – 余裕率)}

6.レイティング

「時間観測時の作業速度を基準とする作業速度と比較・評価し、レイティング 係数によつて観測時間の代表値を正味時間に修正する一連の手続き」IS Z 8141-5508」 のことである。観測によつて得られた時間を、正常な作業者が 正常な速度で行うのに要する日 寺 間に修正することであり、正味時間はレイティ ング係数を用いて計算される。レイティングは、作業者の作業効率を評 価するものである(作業遂行速度、作業格付けともよばれる)。
なお、レイティング係数とは、正常ペースを100と した場合の観測対象者のペ ースをいう。速ければ100より大(つ まり作業が速い人 )、 遅ければ100より小 (つまり作業が遅い人)となる。

・関連用語: 標準時間の設定方法

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